Drupal 10.1 リリース:あなたが知っておくべきこと

企業のWebサイトの8つに1つはDrupalで運営されており、その機能を強化することは必要不可欠です。 ナスダック、米国内国歳入庁、IBM、ファイザーといった組織のサイトは、このソフトウェアの継続的な改良に依存しているのです。 また、その安全な拡張性は、企業規模を問わずデジタル体験に意欲的な企業にとって最適なコンテンツ管理システムを選択する上で重要な要素です。
Drupalの最新バージョンであるDrupal 10.1は、このプラットフォームで親しまれた機能を拡張し、サイト構築者にとって魅力的なソリューションであり続けます。私たちはこのリリースに胸を躍らせていますが、その理由は後ほど詳しく説明します。
Drupal 10の新機能
オープンソースプロジェクトのDrupalは、定期的に何千もの貢献を受け、その革新性はクローズドなソフトウェアの研究開発部門の一歩先を行くものであることを保証します。 今回のアップデートはDrupalの中でも華やかなものであり、期待に胸を膨らませるものがたくさんあります。 その内容をご紹介します。
Oliveroフロントエンド
旧来のBartikテーマは、モダンなOliveroテーマに変更されます。 このテーマはシンプルでありながら洗練されたデザインです。

Drupalコントリビューターであり、かつNational Federation of the Blindの組織技術グループの責任者であり、アクセシビリティの専門家として知られるRachel Olivero(1982-2019)にちなんで名付けられたOliveroテーマは、Drupal 10がすべての人のために機能することを保証するアクセシビリティ機能を誇っています。
Claroバックエンド
Claroは、2009年にデザインされたSevenテーマに代わる、モダンな管理テーマです。 Drupal 10コアの様々なUIのカラーコントラストと要素の統一に多大な労力を費やしました。 タッチターゲットを大きくし、ユーザー調査に基づいて管理者タブを移動し、アクセシビリティを向上させました。 見た目も新鮮で、Drupalをより魅力的なものにしています。 以前は、その外観はDrupalの根底にある魅力と一致しておらず、その無限の柔軟性は見た目だけでは到底想像できないものでした。 Claroは、Drupalの力を知ってもらうために、洗練された外観に仕上げました。

CKEditor 5
CKEditor 4は2023年にサポート終了を迎えるため、Drupal 10ではCKEditor 5に移行しました。 CKEditor 5にアップグレードすることで、コンテンツ編集の操作性が大きく向上しています。 例えば、リンクや画像を編集する際、わざわざダイアログボックスを開く必要がなく、その場で編集できるようになりました。

CKEditor 5のもう一つのアップデートは、Word文書やGoogle Docsからコンテンツエディタへのコピー&ペーストが改良されたことです。これらのプログラムからコピーペーストされたマークアップを除去します。Drupal 10.1では、CKEditorでコンテンツを素早くフォーマットするためのオートフォーマットが使用できるようになった他、多くの改善が追加されました。
追加料金でCKEditor 5のプレミアム機能にアクセスでき、リアルタイムでの共同編集やコメント機能の利用や、WordやPDFの書き出しも可能になります。 ここから30日間の無料トライアルが試せます。
テーマのカスタマイズがより簡単に
Drupalのテーマはゼロから作られることはあまりなく、ベースとなるテーマの上に構築されることがほとんどです。 Drupal 9以前では、ベーステーマと派生テーマが共にシステム上に存在する実行時継承で対応していました。 しかし、この方法は安全とは言えません。 ベースとなるテーマがアップデートで何かを変更した場合、サイトの見た目や動作が崩れる可能性があります。Drupal 10の新機能であるStarterkitは、フロントエンド開発者が実行時にベーステーマを拡張するのではなく、ベーステーマをコピーして新しいテーマを構築する出発点として使用できます。
Drupal 10.1では、Single Directory Componentsという新しい試験的モジュールが導入されました。この新機能は、テンプレート、スタイル、JavaScriptファイルをコンポーネント用に束ねて、Twigテンプレートのデバッグとレンダーキャッシュの設定を、使いやすい管理ページで利用できるようにします。新しいTwigフィルタも追加され、フィールドテンプレートのマークアップ操作が簡単になりました。
デカップルド・ナビゲーション
Drupal 10.1では、デカップルドにおけるコンテンツ要素間のナビゲーション管理が容易になりました。JavaScriptのフロントエンドがDrupalから設定可能なメニューを利用できるように、Linkset標準を使用した新しい専用のエンドポイントがあります。これにより、フロントエンド開発者はナビゲーションをハードコーディングする必要がなくなり、開発者でなくてもコードを書かずにアプリケーションメニューを管理できるようになりました。
柔軟なブロックとコンテンツ管理
Drupal 10.1では、既存のフィールドを再利用するためのUIが刷新され、一貫性のあるコンテンツモデルの作成がより簡単になりました。特定のテキスト形式を強制できるテキストフィールドによって、コンテンツ編集体験が改善されました。さらに、統一されたエンティティのリビジョン編集体験により、コンテンツブロック、ノード、その他のエンティティタイプに関わらず、コンテンツの改訂履歴を管理しやすくなりました。
管理画面の「サイト構築」セクションでカスタムブロックを直接作成できるようになりました。ブロックコンテンツへの改訂は、よりきめ細かい権限のおかげで、簡単にレビューし、(必要に応じて)ロールバックすることができます。
ページ読み込みの強化
ページ読み込み機能の向上により、ユーザー体験が向上します。BigPipeは、サイドバーなどの補助コンテンツが生成されている間に、ページのメインコンテンツを最初に読み込むことで、ページの読み込み時間を短縮します。Drupal 10.1では、BigPipeは遅延コンテンツのインターフェイスプレビューをサポートし、ページのリフローを減らし、ユーザー体験を改善します。Drupal 10.1で追加された機能により、レスポンシブ画像の遅延ロードやoEmbedコンテンツの遅延ロード設定など、初期ページのロードが高速化されました。
コアのスリム化
Drupal 10を中核に集中させ、また一部のモジュールやテーマをコミュニティがより自由に改良できるようにするため、以下のコンポーネントはDrupalコアからコントリビュートプロジェクトに移動されました。 これまで通り利用可能ですが、個別に維持されます。
モジュール |
テーマ |
Quickedit |
Bartik |
Aggregator |
Seven |
HAL |
Classy |
RDF |
Stable |
Color |
|
CKEditor 4 |
Drupal 10へのアップグレード
Drupal 10を初めてインストールされる方は問題ありませんが、そうでない方はサイトの移行やアップグレードが必要です。 以下は、そのためのヒントとツールです。 どのDrupalバージョンを使用しているかで方法は異なります。

Drupalバージョン別アップグレード方法
- Drupal 7:Drupal 10へのサイト全面移行が必要です。アクイアでは、Drupal 7から移行するためのAcquia Migrate Accelerateというツールを提供しており、プロセスを大幅に簡素化することができます。 Acquia Cloudを利用していない場合は、Upgrade Statusモジュールを使用して、どのプロジェクトに互換性のあるリリースがあるかを確認し、Migrate モジュールスイートを使用してコンテンツと構成を手動で移行できます。
- Drupal 8:Drupal 8は2021年11月2日にサポート終了を迎えました。 主要なアップグレードパスの構築方法を鑑みて、Drupal 10への直接的なアップグレードパスは存在しません。まずDrupal 9にアップグレードする必要があります。
- Drupal 9:次の手順に従います。
- 手順1:Upgrade Statusモジュールをインストールして有効化します。 これは、Drupal 10に移行する前にやるべきことをすべて記した環境準備チェックを実行し、管理画面上でチェックリストを表示してくれるツールです。
- 手順2:説明に従って、必要に応じてモジュールを更新します。 カスタムコードについては、Drupal Rectorを実行することで、ほとんどの非互換性を自動的に修正することができます。 自動で対処できない問題については、ドキュメントに従って手動で修正します。
- 手順3:最後に、Drupalコアを10にアップデートします。
アクイアとDrupal 10:完璧な組み合わせ
アクイアはDrupalの世界的な貢献者であり、お客様のソリューションが可能な限りスムーズに機能するようサポートしています。 それはDrupalの初心者、ベテランにかかわらず支援が可能です。 AcquiaとDrupal 10については Drupal 10の究極ガイド をご覧ください。