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Drupalの過去と未来:Drupal 7のEOLにどう対応するべきか

The only constant is change, as they say, and with Drupal's evolution, keeping pace has never been easier

Drupalは今なお進化を続けています。 2011年1月にリリースされたDrupal 7は、現在、2023年11月にEOLを迎えようとしています。 その時点で、DrupalコミュニティによるDrupal 7の公式サポートは終了します。Drupal AssociationとDrupal Security Teamによるアップデート、セキュリティ修正、機能拡張などのサポートも同じく終了します。 

Drupalのユーザーにとって、このような変化は最初でも最後でもないでしょう。 Drupalの最初のバージョンがリリースされたのは2001年で、まだ「Drupal」と呼ばれていなかった頃です。 それから18年、私たちが愛用しているコンテンツ管理システムは、アップデートするたびに洗練されていきました。 本記事では、Drupalの歴史からDrupal 8と9の開発に焦点を当て、なぜ旧バージョンからのアップグレードが重要なのかを解説します。

Drupalのさまざまなバージョン

このプラットフォームの進化を理解するためには、その歴史を振り返ることが有効です。

  • Drupalの黎明期はDorp(オランダ語で「村」の意味)と呼ばれ、現在のような多機能なツールとは程遠いものでした。 2000年、Dorp(タイプミスによりまもなくDropと命名されました)は、当時大学生だったドリス・バイタルト(Dries Buytaert)と友人が、ニュースについて話したり集会を開いたりする場として利用されていました。
     
  • Drupal 1.0:ドリスが、自分の作ったアプリケーションを正式にソフトウェアとしてリリースすることを決めたのは、それから間もなくのことでした。 これはSlashという別のCMSをベースにしており、18個のコアモジュールが搭載されていました。 このバージョンのDrupalはコード集約型で、すべてがPHPファイルを介してアクセスするものでしたが、それでも柔軟でエレガント、シンプルな使い勝手を実現していました。 当然のことながら、どんなユーザーでもDrupalに貢献することができました。
     
  • Drupal 2.0:2001年になると、ドリスはユーザーの要望に耳を傾け、それに応えるようになっていきました。 その中で、彼は、DrupalベースのWebサイトを翻訳できるようにしました。 わずか2ヶ月のリリースで、投稿後のコメント編集機能など細かな機能追加も行われました。 コアモジュールの数は22個まで増えまし
    た。
  • Drupal 3:Drupal 3のリリースは、ノードが登場したことで、私たちのCMSにとって大きな転換点となりました。 今では当たり前のように聞こえますが、あらゆる種類のコンテンツがノードとなり、すべてが相互に結びつくようになりました。 Drupalをフレームワークに採用するWebサイトが増え、モジュール数は26に増えました。
     
  • Drupal 4:旅の中間地点は、大きな意味を持つとされています。 2002年6月、その後4年半の間に4つのリリースが行われたDrupal 4は、正式に国際的なオープンソース運動となりました。 メタタグ、属性、タクソノミーは、プラットフォームの一部となりました。 つまり、Drupalがようやくエンタープライズ向けCMSらしくなってきたのがこの時期でした。 Drupalは、2005年に行われた最初の公式DrupalConに先立って、2003年にコンテンツが300%増加しました。
  • Drupal 5:Drupal 4のリリースは、開発コミュニティから多くの関心を集めました。 2007年1月にリリースされたDrupal 5では、約500人の開発者が1,173のパッチと2,500のモジュールを提供しました。 29個のコアモジュールで構成されるDrupal 5は、jQueryをいち早く採用し、サイトのインストール時間を短縮するWebベースのインストーラーや、読み込み時間を改善するCSSプリプロセッサを搭載していました。 
     
  • Drupal 6:2008年にリリースされたDrupal 6では、ドラッグ&ドロップを搭載した管理UI、メニューやセキュリティの新システムなど、さらなる改良が加えられています。 オバマ政権時代、ホワイトハウスはDrupal 6をCMSとして採用し、ユーザーから7,000のコントリビュートモジュールと600のカスタムテーマが提供されました。
     
  • Drupal 7:Drupal 7は、全てのWebアプリケーションを強化することを目的としており、あらゆる種類のウェブサイトを構築する最適なツールとしてDrupalが選ばれる時代の到来を告げたのです。 Drupal 7には、11,000以上のコントリビュートモジュール、600以上のテーマ、200以上のディストリビューションが含まれています。 
     
  • Drupal 8:現在のモダンなプラットフォームは、2015年11月にリリースされました。 Drupal 8では、絶えず変化するWebに対応するため、CMSの基本アーキテクチャを全面的に見直しました。 また、Drupalのリリースサイクルも見直され、Drupal 7はもはや時代遅れと言えるほど、効率的にDrupalを最新に保つことができるようになりました。
     
  • Drupal 9:イテレーション間の進展と変化がなければ、Drupalシステムは今日のようなモダンでグローバルなプラットフォームとコミュニティにはならなかったでしょう。 多くの開発者が無数のバージョン、アップデート、パッチに貢献し、長い年月を経て、Webの最も強力なプラットフォームのひとつが誕生したのです。 Drupal 10は2022年12月にデビューする予定です。

明るい未来を見据えて

そのワクワクするような節目を迎える前に、私たちは来るべき変化に備えなければなりません。 Drupal 7は2023年11月にサポート終了となります。 CMSを最新に保つのは当然のことのように思えますが、Drupalを採用したWebサイトの多くは、まだDrupalの最新バージョンに対応できていません。 これは、Drupalの新バージョンへのアップグレードが一律に行えないことが主な理由です。 

チームによっては、このようなアップグレードはシームレスに行われるパターンもあれば、 時間、人材、リソースに多大な投資を必要とする、より困難な取り組みとなる場合もあります。 Drupalのユーザーなら誰でも、この特別な投資は賢明なものであり、そのメリットは課題を圧倒的に上回ると言うでしょう。 

2015年に始まったDrupal 8は、Drupalコミュニティの献身的な取り組みのおかげで、その後のリリースごとに大きな進歩を遂げました。 その一部をご紹介します。

  • オーサリング: Drupal 8では、オーサリング体験が改善され、これまでよりずっと簡単になりました。 WYSIWYGエディタに加え、ページ上でのインライン編集、インコンテキスト編集が可能になりました。 これは、コンテンツを編集・管理するチームにとって大きなメリットです。
     
  • すぐに使える: Drupal 8は、箱から出してすぐに使える、完全なレスポンシブ対応になるように設計されています。 Webブラウザ、スマホ、タブレットなど、コンテンツとデータが流れる場所での体験を、現在から将来にわたって提供するためのプラットフォームとして利用することができます。 
     
  • 柔軟なコンテンツ配信: DrupalをContent-as-a-Serviceとして、あらゆるチャネル、デバイス、アプリケーションに対してコンテンツを配信可能です。 他のソースからDrupalにコンテンツを受け取る場合にも同じことが言えます。 新興のAPIエコノミーにおいて、Drupalは企業がこのビジョンを実行するためのエンジンとなり得ます。
     
  • 翻訳とローカリゼーション:Drupal 8では、翻訳とローカリゼーションがより簡単に管理できるようになりました。 あらゆる言語に対応できるようにプラットフォームを構築することが可能です。 また、外部の翻訳サービスプロバイダーとの連携など、言語の翻訳やローカライズに関するビジネスプロセスをサポートすることも可能です。
     
  • インテグレーション: Drupalは、さまざまなテクノロジーとの統合を可能にするため、Webコンテンツ管理とデジタル体験のための優れた基盤となっています。 さらに、Drupal 8はマーケティングテクノロジーと統合するための膨大な機能を備えており、マーケティングオートメーションやメールマーケティングソフトウェアを統合する際に使用するテクノロジーを自由に選択できるようになっています。
     
  • 継続的イノベーション開発モデル:これは、新しい機能は次のメジャーリリースまでお預けではなく、準備が整い次第すぐに展開されることを意味します。 この変更により、最終的に総所有コストが削減され、企業はプラットフォームのメンテナンスに費やす時間を減らし、ビジネスを成長させるための機能により多くの時間を費やすことができます。
     

Drupal 8の革新的な技術を基に、Drupal 9はさらに発展しました。

  • リモートコンテンツの埋め込み機能:YouTubeやVimeo動画などのリモートコンテンツを埋め込むことができるほか、既存のメディアアセットを追加できるメディアライブラリーモジュールを搭載しています。
     
  • ビジュアルレイアウトツール: これはレイアウトビルダー(Layout Builder)と呼ばれ、サイト管理者が管理者用ユーザーインターフェースでDrupalのコンテンツをドラッグ&ドロップでページ全体を編集できるようにするものです。 アクイアでは、レイアウトビルダーをさらに発展させたローコードページ構築ツール「Site Studio」を開発・提供しており、ローコード開発を推し進めています。
     
  • APIファースト:DrupalはRESTfulなWeb APIであるJSON:APIを使って、ヘッドレスCMSを構築可能です。 ヘッドレスソリューションを構築するならば、最新のDrupalで行う方がはるかに簡単です。 データはAPIフレンドリーなソリューションに簡単に渡すことができ、他のプラットフォームとシームレスに統合します。さらにアクイアはコンポーザブル(置き換え可能)な設計を支援する追加のツールを用意しています。
     
  • 機能強化:モダンな管理テーマ、多言語機能の改善、カスタマイズ可能なワークフローツール、堅牢な構成管理など多くの機能強化が図られました。
     

Drupalで行われた改善や新機能はこれだけではありません。 そして、このプラットフォームが成熟するにつれて、さらにより良いものになっていくことでしょう。 SEO対策、アクセシビリティの向上、セキュリティの強化から、発見することがまだまだあります。

Drupal 7からの移行:冷静に、継続的に

まだDrupal 7をお使いの方も、慌てる必要はありません。 Drupalコミュニティは2023年11月までDrupal 7をサポートする予定です。 コミュニティサポートが終了した後も、2025年まで商用サポートが延長される予定です。 とはいえ、アップグレードの準備と計画には十分な時間を確保するため、できるだけ早い時期にアップグレードの計画を開始することをお勧めします。 

Drupal.orgでは、Drupal 7のEOLを迎えた後に行われることが簡潔にまとめています。

  • コミュニティ全体からのサポートはありません。 Drupal 7に関する新しいプロジェクトの作成、既存プロジェクトのバグ修正、ドキュメントの執筆は行われません。
  • Drupal 7のコアへのコミットはありません。
  • Drupal 7のコアやコントリビュートモジュール、テーマ、その他のプロジェクトに対するDrupal Security Teamからのサポートやセキュリティアドバイザリはありません。 Drupal 7の脆弱性に関する報告が公開される可能性があります。
     
  • すべてのプロジェクトページのDrupal 7リリースは、サポート対象外というフラグが立ちます。 プロジェクトのメンテナによって対応が分かれます。
     
  • Drupal 7でupdate statusモジュールを使用しているサイトでは、Drupal Core は非サポートと表示されるようになります。
     
  • 2023年11月以降、Drupal 7のサポートが終了するため、サードパーティによるスキャン時に危険のフラグが立つ可能性があります。
     

サポートされていないソフトウェアは避けるのがベストプラクティスですが、上のリストでわかるように、Drupal 7はその重要な閾値に達しています。 Drupal 7のサイトを新規に構築することはお勧めできません。 Drupal 9への移行を今すぐ計画しましょう。

Drupalのアップグレード

ウェブサイトを常に最新に保つことは、目的地ではなく、旅路です。 この機会に、一貫性のあるアップデートを作業計画に組み込み、イテレーションがリリースされるたびに、サイトをスムーズかつ安全に運用できるようにしましょう。

さらに、Drupal 9へのアップグレードを待っている人たちには、明るい兆しが見えています。 Drupal 9以降のバージョンアップグレードは、最初のプロセスに比べればはるかに簡単です。 実際、Drupal 9のコードは、非推奨のコードをすべて取り除かれた以外はDrupal 8の最後のマイナーバージョンと全く同じです。あなたのウェブサイトが壊れたり、大規模なカスタムコードが必要になることはありません。 Drupal 9への移行に役立つ無料の便利なガイドをぜひ参考に、Drupalの未来を一緒に歩んでいきましょう。

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